.yag_ays_history

... and stuff.

泥団子を食べる想像を,頭の中が空っぽの時によく考える.泥団子といっても,ただの泥を固めたようなものではない.映画「千と千尋の神隠し」に登場する川の神様が千尋に与えた泥団子だ.その泥団子は,ハクの体に巣食う魔女の虫を吐き出させ,暴飲暴食の結果体が膨れ上がり醜い姿になったカオナシを元に戻した,ある種の薬のようなものである.カオナシが口から汚物をまき散らしながら千尋を追いかける様は,映画の中でも中盤の盛り上がりとしてかなり強烈な場面だ.泥団子を食べたハクもカオナシも,一様にのたうちまわって苦しみ,体の中から不要なものである毒を吐き出す.そう,その泥団子が食べてみたい,食べたらどうなるのかという想像を,時々ふと思い出しては繰り返す.自分も泥団子を食べて不要なモノを吐き出したい.吐き出したいのは,脳みその中に詰まっている無駄な情報だ.

脳の中の情報を整理したい.必要な情報をまとめあげ,不要な情報を消し去りたい.コンピュータのHDDをデフラグするがごとく,家の中に陣取っている要らないものを断捨離するがごとく,とにかく一旦無造作に積まれた瓦礫の山のような頭の中の記憶領域を解体してリセットしたい.今まで築いてきた知識を捨てる気は無いが,だからといって何もかも無差別に詰め込んできた知識が全て自らの血肉となってうまく吸収できている気がしない.消化不良のモノがいつまでたっても減らず,借金で首が回らないような状態に陥っている感覚を覚える.

もしそのような泥団子が現実にあれば,もし脳の整理なんてものが可能ならば,千と千尋の神隠しの泥団子を食べて,口から汚物を出すが如く無駄なモノを頭から消し去りたい.苦しみ抜いて毒を吐き出した後の爽快感を想像するだけで,もう,ね.